大判例

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名古屋高等裁判所 昭和26年(う)474号 判決

依つて按ずるに、新刑事訴訟法に於ける控訴審の性質は、原則として所謂事後審に属する。この事は別段明文がある訳ではないが、同法第三百七十七条乃至第三百八十四条、第三百九十三条等の反面解釈に依つて之を肯定することができるのである。即ち控訴審は前記法条所定の範囲に於て一審判決の当否に就き審理判断を為すのであるが、該判断の標準となるものは原則として一審の弁論終結迄に生じた事実に限定せられるのである(一審判決言渡後に生じた事情例へば被害弁償等に就き、実際問題としては控訴審に於ける審理の対照となることがあるが、これは刑事訴訟法第四百十一条本文又は同条第四号等の関係から便宜的に取扱はれているに過ぎないのである)今少年に対する不定期刑の問題に就き考察するに、原判決言渡当時少年であるものに対しては少年法の規定により不定期刑を言渡すべきものであるから、之を履践した一審判決は素より正当である。故に其後に生じた事情、即ち控訴審に於ける弁論終決当時被告人が成年に達したとしても、右は原判決を非難する資料とはならないものと謂はなければならない。翻つて控訴審に於て、成年者に対する不定期刑(一審判決)を維持することが、刑事訴訟法第四百十一条に所謂著しく正義に反するものであるか否かと謂ふに、右は不定期刑を言渡した判決確定前に被告人が成年に達した場合とか、または不定期刑の執行中、受刑者が成年に達した場合とかを考慮すると、成年者と雖も不定期刑の執行を受ける場合が多く存するので、控訴審に於て、一審の不定期刑を維持したとしても何等正義に反しないと謂はなければならないから実際問題としても論旨は之を採用することができない。

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